ハンドベルの演奏方法はイングリッシュハンドベルの特徴から、他の楽器ではあまり見られない演奏方法をとります。片手で楽器全てを支え、音を出すのことも片手でできます。楽器を支えるのは片腕一本で、ほかには何もありません。そのため、演奏しながら腕が動く範囲の限り楽器全体を自由に動かすことができます。その分数限りなく演奏方法もあることになりますが、動かす事で音色が大きく変化するため、ある程度決まった動かし方を何種類か使い分けるのが一般的です。きちんと細かく分類したものは見た事がありませんが、動かし方のいくつかには名前がついており、名前のある物にはだいたい記号があります。ここでは名前のついた演奏方法とその指示記号を紹介します。尚、演奏法名はすべて英語から来ており、典拠にできる様な音訳の定訳もありませんので、英語と日本語で表記しています。カナ表記は揺れがあります。
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Ring リングを基本とする演奏方法
ハンドベルの最も一般的な発音方法は歴史的にリング (Ring)と呼ばれます。リングという名前はタワーベルが全体を回転させる事からきています。しかし現在ではハンドベルの演奏も何となく回す様に見える形に落ち着いています。ハンドベルとタワーベルでは回す方向が根本的に異なりますが、呼び名的にもうリングでいいんじゃないでしょうか。
音を出す瞬間までリングとほぼ同じ奏法にはたくさん種類があって、それ以外は少ないので数で大雑把に分類してみました。
Ring リング
リング (Ring ,R) は最も基本的な発音方法です。ベルの開口部を上に向けて持ち、体にほぼくっついた状態から前方にベルを押し出す事でクラッパーを動かして音を出します。音符の長さだけ音を伸ばして、鎖骨の下、胸の上辺りにベルを当てて音を止める、と言った奏法全般をリングと呼んでいます。ハンドベルの演奏で普通に目にする物はほとんどリングと言っても間違いではないほどよく使われます。チームや指導者、演奏者毎に細かい部分は異なります。若干傾けたり、肘を使ったり、掬い上げる様にしたり、前後に動かすだけだったり、握り方も数種類あります。共通しているのは音を出す際にベルの口の空いた面(一般的には下)を上に向ける事です。
リングはピアノの鍵盤を叩くのと同じで音を出すだけならほぼ誰でもできる奏法です。しかしピアノ同様、演奏しようと思ったり、いい音を出そうと思ったらそれほど簡単ではありません。音を出せる事と演奏できる事を混同してしまう方も多いのですし、困った事に業者は誰でも音を出せる事をさも演奏できるかの様に宣伝に使っています。実際そうではない事は自分がピアノの演奏者でない事を見れば明らかでしょうし、楽器を演奏する方であればなおさら実感できる事と思います。
一見誰にでもできそうな奏法ですので、非常に単純です。ハンドベルは自由に動かせますので、無限にリングを拡張していけるのですが、あまりルールがなくても分かりにくいので、特徴的なものにだけ名前がついています。まだまだ演奏的には未発掘の部分が多い楽器ですので主に音ではなく演奏者の行動で名前がつけられています。悲しい事です。まあでも奏法ってそんな物から始まるので1000年後に期待しましょう。
リングを使って演奏する曲
- 主よ、人の望みの喜びよ - まあリング
- ホーンパイプ - 和音リング
- ウェズリアン狂詩曲 - 和音だらけ
リングをあまり使わないで演奏する曲
ほぼ全ての曲でリングは使われます。なので逆に使わない曲も挙げてみました。
- ピック・ア・ウィナー(勝ち馬を探せ) - マレットだけで演奏します。
- ジャズ・ピチカート - これもマレットだけですね。
- プリンク・プランク・プルンク - ほぼ全曲をプラックで演奏します。
Shake シェイク
シェイク (Shake, Sk.) は小刻みに何度もベルを鳴らす奏法です。楽器の振動部が金属であり、細かくならした場合に振動を止める機構も無いため、やや金属的な、ある種派手な音がする奏法で、和音で使うとよりその派手さが増します。音がキレイかと言われると層でもないのですが、派手な演出用です。曲の終盤付近や盛り上げる感じでよく使われます。小さい(高い音の)ベルでの指示が多く、文字通りベルを細かく振ってならす事から shake (振る、揺する、振動)と命名されたようです。
他の楽器のトレモロに近い奏法です。二つのベルを同時に交互にシェイクしてトリルの効果に使うこともあります。ただ、小さい音でのシェイクは筋肉的に難しいため、トリルはあまり多用されません。そういう楽譜書いても売れないんですね。また、長い音でのシェイクを演奏するには辛い基礎訓練が必要になります。できる様になると何分でもシェイクをし続けられるのですが、20年やっていてもそう言う方には数人しかお目にかかったことはありません。シェイクしながらもベル全体を上下左右に動かす事もできますし、一つ一つの音は個別のリングとさほどかわりませんので一つずつ打ち方をかえたり音量や聞こえ方をいろいろ変化させる事も可能なものすごくいろいろつまった奏法です。
シェイクする方向には主に縦(前後)と横(左右)の二通りあります。横向きは主に見た目重視の奏法なので、横で演奏される方は最近はめっきり減りましたが、わずかにまだいらっしゃいます。また、そう言う方はさらに辛い訓練を積んで横向きの音的な欠点を奏法でカバーしたりされています。
シェイクを使って演奏する曲
- もろびとこぞりて - 単音シェイク
- - 和音シェイク
- レッツ・タンゴ - ギターのトレモロをベルで
- 歌劇ウィリアム・テル序曲 - トリルでの使用
Swing, Tower Swing スイング、タワースイング
ほかにも T, TS, TSW, など様々。スイング (Swing, SW) 、タワースイング (Tower Swing, TS.) はベルをリングで鳴らした後、腕全体を使って前後に大きくベルをゆらして余韻をコントロールします。鐘楼の上で大きなベルが揺れているような効果を出すものだと言われています。個人的には揺れる中点がベルから腕の長さ分離れていますしあんまり似てないと思っています。和音で行うと効果が大きく出ますが、余韻が長引く分そろわないとイヤな音になってしまうのがタマニキズです。最も古い変化奏法、とどこかで教わった覚えがありますがソースとか分かりません。
大きいベルでは普通のリングよりもかなり握力が必要になります。ないとベルが後ろに飛んでいきます。また、前も気をつけないとテーブルの角にあたります。その位置把握で似た物をあげてみると、自動車の車庫入れでやる車両感覚みたいな物が必要です。
音を出してから前後に一拍ずつほど伸ばすので必然的に長い音符向きの演奏方法です。
スイングを使って演奏する曲
- 項目募集中
Echo エコー
エコー (Echo) はベルをリングで打ったあと、ベルをテーブルに近づけたり離したりする事で余韻をコントロールします。エコーとは日本語ではこだまのことです。非常に柔らかいイメージの音になります。近づけたり離したりをゆっくり一拍ごとにやったり、32部音符くらいでやったり、どちらも独特の音になります。主に長い音符で使用されます。短い音での演奏は見た事が無いですが難しいです。
エコーのうなりの間隔の調節は、楽譜に指示されていることもありますし、指導者や演奏者の好みで割と勝手な長さにいじられがちです。きちんとその拍を楽譜に表現する適当な方法がまだ無いので、厳密には作曲者に直接聞くか、演奏する人に与えられた自由とおもって勝手にやるかしかありません。
エコーを使って演奏する曲
- ベルフェスト - いわゆるエコーの使い方
- シルクロード - 内声でのエコー
Ring Touch リングタッチ
リングタッチ (Ring Touch, RT.) はリングで音をならした後、素早く手を引いて音を止めます。本来、音の強弱とは別の概念のはずですが、スフォルツァンドとともによく用いられます。余韻が長い事が特徴のハンドベルにおいて、わざと余韻を短くする奏法のためか、一曲で何度も出てくることはあまりありません。和音で使うとこれまた独特な音になるのですが、美しいリングタッチの和音は一度でも聴けたらラッキーと思えるぐらいなかなか聴けません。曲の最後でシェイクをしてリングタッチ、という編曲が流行った時期があり、そう言う編曲の楽譜がたくさんあります。
リングタッチを使って演奏する曲
- 二つのギター Two guitars - 最後、和音
- おもちゃの兵隊の行進 - リングタッチの和音でメロディー
- パイレーツオブカリビアン - 高音部でのリングタッチ
Gyro ジャイロ
あるいは ジャイロ (Gyro) はリングで音をならした後、手首、場合によって肘の先からベルをぐるぐる回します。ベルが持つ倍音が複雑になり、エコーよりもインパクトのある余韻のコントロールに使われます。多用すると耳が慣れてしまうことと、高音域では効果がわかりにくく、低音域では演奏そのものが非常に大変なため、あまり使われません。音にもインパクトがありますが今のところ見た目重視の奏法なところは否めません。割と新しい奏法で、力のさじ加減を間違えると手首を痛めます。これも回転の速度や和音で使用する事で音の感じは相当変わります。
ジャイロを使って演奏する曲
- 荒城の月 - ゆっくりマルテラートジャイロリフトのアルペジオ
- テイクファイブ - ジャイロでメロディー
Thumb Dump サムダンプ
サムダンプ (Thumb Dump, TD.) はリングで音を出す際にあらかじめ親指でキャスティングを押さえ、スタッカートのような効果を出す奏法です。主に高音域で使われます。低音域はベルが大きすぎて親指では押さえきれないため人差し指を使ったり、プラックにしてしまったりします。音的には微妙にリングの余韻をもったプラックより音程感のある音です。
サムダンプのサムは thumb, 親指のことで、これをいろんなところにした奏法がいろいろ存在します。といっても手のひらとか腕とか腰とか尻程度ですが。ベルの大きさに合わせて作曲者はいろいろ考えているのだと理解してあげましょう。
サムダンプをリングとは別の動きで音を出す方達も存在します。そのほとんどは強拍を出すために腕を普段より速く前に出す物です。腕の動きは飼えなくても押さえている指の力と接触面積を加減する事で余韻が調節できます。
サムダンプを使って演奏する曲
- シンコペーテッドクロック - 単音
- スレイライド - 和音
- ジングルベル - 和音
Vibrate ヴィブラート
ヴィブラート (Vibrate, Vib.) はリングで音を出した後、ベルを腕で動かすのを止めたり止めなかったりしますが、ベルを左右に揺らしたり前後にゆらしたりして余韻をゆらした感じにする奏法です。割と少ない音での和音でないと効果が分かりにくいのであまり登場する機会はありません。会場が広ければ広い程分かりにくいです。
ヴィブラートを使って演奏する曲
- シンコペーテッドクロック - 単音
Brushing ブラッシング
ブラッシング (Brushing, Brush.) はリングの後にキャスティングを手で触って余韻の減衰をコントロールします。この奏法は楽譜等で指示される事は滅多にありません。しかし転調の際などに余韻が残って不協和音になってしまう事を防ぐためなどに演奏者はわりと勝手に使用します。逆にこの奏法を全く使わない演奏者/指導者もいらっしゃいます。
リングタッチと組み合わせたりする事でくっきりした音像を作ったりします。また、ブラッシングを手ではなく胸で行う場合ブラッシュダンプ (Brush Dump, BD.) と呼びます。他にもいろんなところでブラッシングをすることを考える人が居るようで、様々な名前の奏法があり、呼び方もまちまちですが、そのうちブラッシングに落ち着くと思います。
リング以外で発音する奏法
リング以外の手段、手を前に出す以外で音を出す方法もいくつか存在します。よく使われるのはプラックとマルテラートとマレットです。
Plack プラック
プラック (Plack, Pl.) はベルをパッド(テーブル)におき、クラッパーを手ではじいて音を出す方法です。押さえ方やはじき方で様々なバリエーションがあります。片方の手でハンドルを押さえ、反対の手でクラッパーをはじく物をプラックと呼ぶ様ですが、クラッパーを上にはじくのか下にはじくのか、押さえる手はハンドルなのかキャスティングなのか、あるいは腰骨(おなか?)の辺りで押さえるのかなどプラックの中にも様々な奏法があります。上にはじくときにアッププラックと呼ぶことがあるのですが、もともとはプラック全般が上にはじくものだったのでどっちがどうなのやら、どこかできちんと決めてほしいところです。まあ音聴いて好きな方使えばいいと思います。
リング以外の奏法ではわりと広い音域で使える奏法なのですが、低音の方が余韻が多く残るため低音でのオルタネーティブベース的な使用が若干多いと思います。
Plack lift プラック・リフト
プラック・リフト (Plock lift, Pl. lift) はプラックの亜種で、プラックで音が出てすぐにベルをパッドから離し、余韻を残す方法です。タイミングによって音が詰った感じになってしまったり、余韻もだいぶ感じが変わるので記号を見ただけではどんな音を出したらいいのか判断に迷う指示です。また、真ん中より高い音では演奏してもほとんど分かりません。
プラックを使って演奏する曲
- プリンク・プランク・プルンク - ほとんどプラック。これはアッププラック。
- 剣の舞 - これはダウンプラック
- ジ・オールアメリカン・ホームタウンバンド - オルタネーティブベース
- アラジンのテーマ - はじめ
Martellato マルテラート

マルテラート (Martellato, Mart.) はあまり辞書に載っていない単語ですが、音楽辞典にはピアノや弦楽器で、強弱記号に関係なく打楽器の様に鋭い音を出せ、と書いてあります。鍵盤を叩くイメージからこの名前になったのでしょうか。音的にはだいぶ異なりますが、ハンドベルではハンドルもしくはキャスティングをつかんでキャスティングをパッドに打ち付けて音を出す方法です。言葉的な表現はかたいですし、実際倍音もあまりきれいではないのですが、当たった瞬間の音が「ぽこ」と表現するのがぴったきます。特に録音すると可愛さが顕著になるため、そう言うイメージで作曲されているのかな、と思う曲によく出会います。
ハンドルを持つタイプがマルテラートで、キャスティングを押さえる場合ハンドマルテラートといって記号も異なるのですが、使い分けている作曲家さんはそう多くないので全体のバランスを見つつ、ローアッパーぐらいはキャスティングを持つ様にします。それより低いベルはそれはそれで手でつかめないので。
Martellato Lift マルテラート・リフト

マルテラート・リフト (Martellato Lift, Mart. lift) はプラック・リフトと同様に、マルテラートの亜種です。マルテラートの後すぐにパッドからベルを離して、余韻を残す演奏方法です。プラックリフトとは異なりマルテラートリフトは時々見る指示です。割とガサツな演奏方法ですし音もグニャグニャですが、普段の音にインパクトが少ない楽器ですのでアクセントの様に使われます。
比較的大きな余韻が出るためか、マルテラート・リフトで持ち上げている最中にジャイロする奏法もあります。カタカナではマーテラートと書く場合もありますが、同じ綴りで英語読みをカタカナにした物と思われます。
マルテラートを使って演奏する曲
他の楽器には似たような奏法もないのでオリジナル曲に多いです。
- ホーンパイプ - マルテラート
- アレキサンダーズ・ラグタイム・バンド - マルテラート・リフト基本はこんな感じ
- 荒城の月 - マルテラート・リフト・ジャイロ
- 春の海 - マルテラート・リフト
Mallet マレット
マレット (Mallet, Mal.) は日本語で「ばち」にあたるものです。打楽器で、音程が分かる楽器、マリンバとかビブラフォン、ティンパニ、グロッケンシュピールなどなどで使われる叩く棒の事です。先端にゴムや木でできたボールがついた棒で、先端は布や毛糸で巻いたり巻かなかったりします。びっくりするような価格でハンドベル用のマレットというのも売られています。
そのばちでベルを外側から叩く奏法をマレット、と呼んでいるのですが、楽器を自由に動かせるため様々な叩き方があります。叩く位置や叩き方で様々な音が出ます。
Mallet マレット
普通にマレット (Mallet, Mal) とあった場合、ベルをパッドに置いた状態でマレットで叩きます。叩くばちによって全く違う音質の打音が出るためまとまったコメントはしにくいですが、余韻は長くもなく短くもなく減衰します。柔らかい木琴みたいな音がします。マリンバじゃなくて木琴です
Sus Mallet サスペンデッド・マレット
サスペンデッド・マレット (Sus Mallet, Sus Mal) とあった場合、ベルを手で逆さに持ち、つるした状態でマレットで叩きます。サスペンデッド suspended はシンバルを吊るすときの「吊るす」な意味です。厄介なのはこの奏法をただマレットと呼んでいた時期があり、1990年代以前の楽譜はそう言うのも多々混じっている事です。音はグロッケンシュピールに似た感じだと個人的には思っていますが、あまり期待しないでください。あれほど粒がそろう事はほとんどありません。
Mallet lift マレット・リフト
マレット・リフト (Mallet lift, Mal. lift) はテーブルに置いた状態でマレットで叩いてすぐにテーブルから持ち上げて余韻を残す奏法です。マレットでは大きな余韻が残らない事が多く、ここからさらにジャイロは見た事がありません。ばちを持つ手と持ち上げる手で両手が必要になるため、多用すると持ち替えが間に合わず、すぐに演奏できない曲になります。
マレットを使って演奏する曲
- グラチオーソ -
Belltree ベルツリー
ベルツリー (Belltree) は奏法と呼べるのか微妙なところだと思います。音はサスペンデッドマレットとほぼ一緒です。ハンドルの中に別のベルを入れてつぎつぎ組んだ物を手で持つか、ベルツリー用のコート掛け(みたいなもの)に吊るして、グロッケンシュピールの様にベルを演奏する奏法です。この奏法が出て来たのは1996年とかですの、まだまだ出たての奏法です。曲も少ないです。一人でたくさんやりたい人が主にやられている様です。
ベルツリーを使って演奏する曲
- 項目なし
発音以外の指示
音楽は音を出すばかりではありません。休みや音を出した後の保持、楽譜を通常とは違う読み方をするものなども重要な要素です。そんな指示を集めてみました。一般的な音楽記号は極力抜いているので数は少ないです。
Let Vibrate レット・ヴィブラート
レット・ヴィブラート (Let Vibrate, LV, L.V.) は音の伸ばし方に関する指示です。通常はエルヴイとそのまま呼び/読みます。直訳すると震わせといて、(ほっといて、の「て」)という意味になります。これはいわゆるペダルポイントの指示で、この記号から次の L.V. まで、またはダンプの記号まで余韻を伸ばしたままにします。
古い楽譜では大抵この指示は楽譜の一番上の音から下の音まで有効な指示でしたが、たとえばメロディーだけ L.V. 、伴奏だけ L.V.、アルペジオだけ L.V. のような指示も多々存在します。そのあたりは文字で指示されていることもありますし、なんとなく書いてある位置や大きさで判断が必要な楽譜も存在します。これも作曲者、時代といっても数巡年の間でいろんな使いかたをされています。そのなかで顕著な物が、次の LVUHC です。
LVUHC
LVUHC (Let Vibrate Until Harmony Changes, LVUHC) はそのままエルブイユーエイチシーと読みます。レットヴィブラートなんだけど和音が変わったらやめてね、と訳せると思います。L.V. の指示の通りその間にある音を伸ばしていると時々とてもイヤな音になる事があります。イヤな音になるまえに伸ばすのをやめてね、というのがこの指示です。しかし実際には L.V. の書かれた中に内声やオブリガードで不協和音になる音が混ざる事はよくありますし、そんな音は L.V. の指示で抜くのは当然という考えの方もおられるようで、LVUHC は概念としては定着してますが、指示としてはそんなに通りがいい物ではありません。
LV, LVUHC を使って演奏する曲
これ難しいです。
Dump ダンプ
ダンプ (dump) はその指示の位置で音を一旦止める、というものです。L.V. の後でよく出てきますが、それ以外でも転調の際などに時々出てきます。コーダに良く似ていますが、上下の飾り(セリフ)が無い記号っぽい方がダンプ、セリフがある文字っぽいのがコーダです。何で止めるか、パッドか、胸か、腕か、手のひらか、指か、その他か、などでいろいろ名前があります。また、完全に音を止めないブラッシュダンプという奏法もあるので、止める、ではなく弱める、と覚えた方がいいのかもしれません。
Duplicate デュプリケイト
デュプリケイト (duplicate, dup.) は指定されたベルを一つではなく二つ以上用意する指示です。同じ高さの音を二つ用意し、一人で二つとも演奏することもあれば、持ち替えや打ち分けが困難なときに別々の演奏者が二つをそれぞれ持って鳴らすこともあります。二つ同じ高さの音のベルがあっても、全く同じ音がするわけではないため、同じベルが二つある以上の効果があらわれてしまい、ちょっと聴いた感じでは分かりませんが、ちゃんと聴くと結構違和感あります。三つ以上必要な楽譜はほとんどないため duplicate と呼びますが、三つ必要になる楽譜にはお目にかかった事があります。
ハンドベル以外の楽器の指示
ハンドベルの楽譜なのにおかしな話ですが、他の楽器の指示も時々出てきます。チャイムでの演奏が最も多いかと思いますが、それに次いでトライアングルや鈴などの打楽器、フルート、オルガンなどが比較的良く登場し、ティンパニとホルンが登場する変わり種や歌と合わせるものもあります。チャイム以外の楽器を要求する物はほとんど奇をてらったウケ狙いと思っていて間違いないと思います。Handchimne ハンドチャイム
ハンドチャイム (Handchime)はクワイアチャイム、トーンチャイム、あるいはメロディーチャイムなどハンドベルの代わりにチャイムで演奏するときにこの四角い記号を使います。記号自体は四角に決まっているのですが、中には作曲家さん手書きのものもあったり、最近ではパソコンで書かれているので、楽譜ごとにこの四角のバランスはかなり異なります。
おねがい
一応 AGEHR の記号ガイドを参考にしておりますが、ハンドベルの演奏方法は日々進化していますので、こんな記号見つけた! とかこの記号も載せて! 間違ってまつ等ありましたらお気軽にお問い合わせください。感情記号など演奏法に絡まない物は取り上げない予定です。